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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1) 当院における過去10年間の子宮肉腫8例の検討
町田 亮太, 竹下 茂樹, 杉浦 敦, 香山 哲徳, 市田 宏司, 梅澤 幸一, 宮崎 泰人, 横山 幸代, 清水 泰樹, 梁 栄治, 綾部 琢哉, 冲永 荘一
帝京大学医学部産婦人科
子宮肉腫の発生頻度は全子宮悪性腫瘍の約1%と比較的稀な腫瘍である.閉経後の婦人で不正性器出血,下腹部痛を伴った子宮腫瘍の急速な増大を認めたときには本疾患を考えねばならない.今回我々は,過去10年間に当院で診断,治療した子宮肉腫8例について,その検査所見,治療法,予後について検討した.1996年1月から2006年10月までに術後病理診断で子宮肉腫と診断された8症例の平均年令は,57歳(39歳〜74歳)で,その内訳は子宮内膜間質肉腫1例,平滑筋肉腫1例,癌肉腫6例であった.術前に血清LDHの上昇を認めたのは8例中6例であった.子宮内膜組織診を施行した6例では子宮肉腫と確定されたのは4例であった.手術進行期分類は1期1例,2期2例,3期4例,4期1例であった.全例で手術療法を施行したが,内訳は単純子宮全摘術3例,準広汎子宮全摘術3例,広汎子宮全摘術2例であり,リンパ節郭清は4例に施行した.追加治療として1例で放射線療法を施行,5例で化学療法(CAP療法1例,IAP療法4例)を施行している.1期・2期症例は3例とも無病生存しているが,3期症例では局所再発を来した症例と腫瘍塞栓を来した症例の2例が死亡している.4期の肺転移を来した症例は術後に化学療法を施行したが治療効果を認めなかった.閉経後の子宮腫瘍に対しては病理組織学的検索,腫瘍マーカー,画像検査を組み合わせて子宮肉腫を疑うことが重要であると思われた.また骨盤腔外に腫瘍が及んだ症例や遠隔転移例は予後不良であるので,早期の標準的な治療方針の確立が必要と考えた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
169-169, 2007
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