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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(1)
23歳の女性にみられたlow grade endometrial stromal sarcomaの1例


松本 光代, 外村 光康, 永田 順子, 中村 秋彦
国立病院横浜医療センター産婦人科


 子宮のlow grade endometrial stromal sarcoma(ESS)は,女性性器の悪性腫瘍の約0.2%と稀な腫瘍である.生命予後は良好といわれるが,約50%は再発する.他の子宮肉腫に比べ若い年齢に多く,10〜25%は閉経前である.今回我々は23歳の女性にみられたlow grade ESSの症例を経験した.4ヶ月前から下腹部痛と過多月経があり,不正出血が続き,近医にて子宮筋腫が疑われ,当院を紹介され受診した.エコーでは子宮筋腫を疑う所見で腫瘍の大きさは8×7×6cm,子宮頸部・体部細胞診は陰性,MRIでは筋層よりも内膜由来の腫瘍が考えられた.開腹手術とし,まず,腫瘍の部分切除を行って,迅速病理診断を行ったところ,low grade ESSが考えられたため,子宮および両側附属器摘出を行った.腹腔内には播種の所見はなく,肉眼的には両側卵巣にも異常を認めなかった.腫瘍の割面はやや黄色で通常の筋腫より軟らかく,子宮漿膜への進展はなかった.組織学的には子宮内膜間質細胞に似た細胞からなり,細胞異型や核分裂像は目立たず,壊死もみられなかった.免疫染色で,CD10陽性,SMA陰性,デスミン陰性,カルデスモン陰性,estrogen receptor陽性,progesterone receptor陽性であった.子宮傍組織の血管内に腫瘍塞栓がみられ,卵巣実質には転移はないものの,卵管・卵巣近傍の静脈内には腫瘍塞栓を認めた.本症例のような若年女性では卵巣温存やあるいは腫瘍の核出などの保存療法の報告もあるが,本症例にみられた子宮周囲の血管内腫瘍塞栓を考えると保存療法には限界があるように思われた.文献的考察を含めて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 171-171, 2007


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