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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部悪性腫瘍(2) 子宮内膜癌1a期G1で術後二年目に癌性腹膜炎を併発した1例
長尾 昌二, 菊地 真理子, 伊藤 百合子, 清水 基弘, 後藤 友子, 藤原 恵一, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
早期子宮内膜癌の完全手術例でも再発するケースが稀にある.しかし中には体癌の再発なのか新たな他癌の発生か臨床的判断が困難で,再手術により,初回の病理所見との比較を余儀なくされる症例がある.今回我々は,子宮内膜癌1a期の根治術後2年以内に癌性腹膜炎を併発し再手術・病理学的検討を行った一例を経験したので報告する.症例は51歳,2経妊2経産.不正性器出血を主訴に当院受診.子宮内膜細胞診にてclass 5,子宮内膜組織診にて子宮内膜腺癌だったため,H16.8.31,子宮全摘術+両側付属器切除術を施行.病理組織検査で子宮体癌1a(子宮内膜腺癌)Grade1と診断され,その後外来にて経過観察していた.H18.4月よりCA125 280.1U/mlと上昇を認めていた.H18.7.20 腹部膨満感,下痢が出現,腹部CTにて腹水貯留,大網の肥厚を確認した.ダグラス窩腹水穿刺細胞診にてclass 5のため,H18.8.24開腹手術をおこなった.開腹時,大網は全体に肥厚し,腹膜,腸間膜表面には0.5〜1cm大の小腫瘤が散在し,特に骨盤底,および横隔膜表面には腫瘤が密集していた.大網切除術+IPリザーバー留置術施行した.病理は初回原発巣とは若干異なる所見で,免疫染色等追加し検討したが原発巣を積極的に推定できるような所見はえられず,内膜癌の再発か原発性腹膜癌かを鑑別する事は困難であった.術後化学療法としてパクリタキセル(175mg/m2)カルボプラチン(AUC=6)IP療法を現在まで7コース施行したところCA125は11U/mlと正常化し,画像上再々発所見は認めていない.今回の症例における病理組織の再検討と,文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
173-173, 2007
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