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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部良性腫瘍(1) 卵巣静脈内に発達し腫瘍栓を形成した子宮筋腫の一例
高橋 千果, 石井 博樹, 近藤 朱音, 杉山 太朗, 平澤 猛, 村松 俊成, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
【背景】腫瘍栓のうち良性疾患である子宮筋腫によるものは稀である.静脈内に発生する子宮筋腫は筋腫からの発生,また子宮静脈壁内皮細胞からの発生があるとされている.文献的には血管外科,婦人科,放射線診断から約200例の報告がある.下大静脈より右心房・心室内に進展するものでは骨盤内子宮筋腫の症状よりも動悸・息切れなどの症状から心臓超音波検査によって明らかになるものもある.治療としては腫瘍の摘除が第一とされている.【症例】症例は59歳,0経妊0経産,閉経52歳.検診時に子宮筋腫を疑われ近医を受診したところ子宮筋腫および静脈血栓を認めたため当院を紹介受診した.造影CTにて下大静脈血栓を認めたため,術前に一時的下大静脈のフィルターを挿入し腹式単純子宮全摘及び両側付属器切除を施行した.術中所見において左卵巣静脈内に硬結を触れたため触診にて確認し,その頭側にて卵巣静脈を結紮した.結紮した血管内に子宮筋腫の浸潤を認め,その全長は約15cmであり,一部は径3-4cm大に膨隆していた.術後の経過は良好であり退院となったが造影CT検査において残された卵巣静脈内に腫瘍栓の残存を認めたため,下大静脈フィルターは永久留置となった.【結論】子宮筋腫による腫瘍栓は稀な病態であり,心臓内に達する様なものでなければ術前に診断することは困難であると考えられる.本症例でも術中に腫瘍栓であることが判明し全摘出できていたと思われたが,術後の画像検査にて腫瘍栓の一部が残存していると考えられたためフィルターを留置することとなった.少数ではあるが再発例の報告もあり,今後も腫瘍の大きさを含め注意深い経過観察が必要と思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
174-174, 2007
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