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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部良性腫瘍(1) 大量性器出血をMEA(Microwave Endmetrial Ablation)で止血が得られた1例
菱川 賢志, 富永 都子, 里野 美佳, 木幡 豊, 井上 裕美
湘南鎌倉総合病院産婦人科
大量性器出血をMEA(Microwave Endmetrial Ablation)で止血が得られた1例を経験したのでその報告とMEAの有用性について考察する.子宮筋腫の既往がある42歳女性(2経妊2経産)が性器出血を主訴として来院された.骨髄生検で再生不良性貧血と診断された.薬物療法するも不応で全身状態より子宮全摘も選択できずMEA施行となった.MEAにより止血が得られ再生不良性貧血の治療ができるようになり,入院77日目に独歩で退院,現在外来通院と続けている.この症例ではMEAが大変有効であったと結論づけた.MEAとはマイクロ波による誘電加熱で子宮内膜を焼灼する低侵襲的な治療法である.MEAの適応は妊孕性を温存しないことを前提に内分泌治療では十分に制御できない子宮全摘が考慮される過多月経の患者である.MEAは80〜90%治療効果があると考えられている.すなわち無月経になる,もしくは過多月経が解消されることである.MEAの問題としては子宮穿孔と内臓熱傷が挙げられる.他にはMEA後に子宮体癌の発生は増加しないのかという疑問が挙げられる.私たちが調べた限りでは子宮体癌の発生率が増加するという報告はなくMEA自体が子宮内膜癌に対する治療になりえるのではと考えている臨床家もいる.MEA後は子宮内腔が癒着することが多いので,内膜細胞診が困難になり子宮体癌の発見が遅れる可能性はあると考えられる.以上を踏まえても過多月経の治療法として内分泌療法,子宮内膜掻破術,子宮全摘があるがMEAも治療の選択の1つとなると思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
176-176, 2007
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