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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部良性腫瘍(2) 子宮筋腫に対するFUS後に妊娠し,経腟分娩となった1例
疋田 裕美, 森田 豊, 竹内 沢子, 難波 直子, 間瀬 徳光, 水戸 菜々子, 上田 万莉, 石田 友彦, 藤孝 一郎, 山本 幸彦, 丸茂 元三, 大橋 浩文
板橋中央総合病院産婦人科
子宮筋腫に対する集束超音波治療(FUS:Focused Ultrasound Surgery)は,日帰り治療が可能で低侵襲な治療であることから,近年,注目されつつある治療法の一つである.MRIでガイドしながら,超音波のビームを一点に集め,筋腫組織を60℃から80℃で照射させ,数ヶ月かけて縮小させていく治療法である.2004年10月に米国FDAに認可されてから,国内でも現在7施設において治療をおこなっている.しかしながら,治療後の妊娠例に関するデータは乏しいのが現状である.当院では,当院倫理委員会の承認を得て,また患者から十分なインフォームドコンセントを得た症例に対して,挙児希望例に対してもFUS治療を行ってきた.今回,29才で軽度の下腹部膨満感を訴えていた症例に対して,前壁漿膜下に存在した7cmの筋腫にFUSを行い,その3ヵ月後に23%,腫瘍は縮小した.その直後に妊娠し,妊娠経過中,筋腫の大きさに変化はなく,また筋腫による妊娠中の合併症は認めなかった.FUSを行った際に,正常筋層を保つように治療を行ったことなどから,経腟分娩の方針とし,妊娠39週にて,正常経腟分娩にて,3212gの女児を無事出産した(アプガースコアー9点).本邦において,FUS後の妊娠例が経腟分娩に至った症例ははじめてであり,国際的な妊娠の報告例の詳細も含めて検討したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
176-176, 2007
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