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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮体部良性腫瘍(2) 子宮漿膜下筋腫との鑑別が困難であった前腹壁腹膜外巨大平滑筋腫の一例
佐久間 洋1), 高橋 通1), 金子 重信2), 加村 和雄3), 梶原 健3), 永田 一郎3)
埼玉県厚生連熊谷総合病院産婦人科1), レディースクリニック公園通り産婦人科2), 埼玉医科大学産婦人科3)
下腹部の巨大腫瘍は婦人科領域の疾患であることが多く,画像診断の進歩により術前診断は正確性を増してきたが,まだまだ充分とは言えない.今回我々は有茎性漿膜下筋腫を疑い,開腹手術したところ,前腹壁で腹膜外に発育した平滑筋腫であった症例を経験したので報告する.【症例】33歳0回経妊.未婚.既往歴:特記すべき事なし.経過:平成18年8月より時々不正性器出血あり,下腹部圧迫感も出現して,9月27日に近医婦人科受診.下腹部に臍高まで達する超小児頭大の硬い腫瘤を確認.子宮細胞診に悪性所見なく,10月14日当院に紹介受診.超音波断層撮影・MRIでは,150×88×132mmの充実性腫瘍を認め,正常大の両側卵巣を確認.血液検査の結果は,積極的に悪性を疑う程の所見はなかった.11月1日有茎性漿膜下筋腫を疑い,手術としたところ,腫瘍は腹直筋後鞘の直下で腹膜を開く前にあり,粗な結合織で腹膜に付着するような形で存在した.結合織を分け,腹膜を開けることなく,1,100gの腫瘍を摘出した.栄養血管は鼠径管に続いており,さらに腹膜を切開したところ両側卵巣は多嚢胞性卵巣の様相を呈していたが,腹腔内には腫瘍と関連するような異常所見は見られなかった.病理結果は,平滑筋腫であった.【まとめ】婦人科領域の腫瘍と鑑別が困難であった前腹壁腹膜外に発生した巨大平滑筋腫を経験した.栄養血管は子宮円靱帯から鼠経部に続いているようであったが,発生元の詳細は不明であった.下腹部腫瘍の術前説明に,婦人科領域以外の腫瘍の可能性も話すことの必要性を再認識した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
178-178, 2007
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