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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(1) 妊娠31週に未破裂脳動脈瘤に対してクリッピング術を施行した1例
青木 朝子1), 大平 哲史1), 長田 亮介1), 金井 誠1), 塩沢 丹里1), 小西 郁生1), 宮原 孝寛2), 後藤 哲哉2)
信州大学産婦人科1), 信州大学脳神経外科2)
妊娠中に脳動脈瘤が合併することは稀であり,報告例の多くは破裂して発見されている.今回,妊娠中に出現した動眼神経麻痺を契機に発見された未破裂動脈瘤に対してクリッピング術を施行し,その後満期で分娩となった1例を経験した.症例は32歳,1経妊1経産で,A医院にて妊娠管理されていた.妊娠31週1日に左前額部の痛みが出現し,さらには左眼瞼下垂,複視が認められた.妊娠31週5日にB病院脳神経外科を受診し頭部MRIを施行したところ,左内頚動脈後交通動脈分岐部に未破裂動脈瘤が認められ,上記症状は動脈瘤の神経圧迫による左動眼神経麻痺と考えられた.動脈瘤が破裂しクモ膜下出血を来たす危険があったため,同日当院に救急搬送となった.脳神経外科にて脳血管造影を行ったところ,同部位に直径7mmの未破裂動脈瘤が確認された.胎児の未熟性を考慮し,妊娠継続の上で搬送当日に緊急開頭クリッピング術が施行された.術後経過は順調であり,左動眼神経の麻痺症状は消失し,術後10日目に退院した.その後の妊娠経過は順調であり,脳外科的にも特別な制限はないため,分娩は経腟分娩とする方針を患者に提示した.しかしどうしても経腟分娩に対して本人の同意が得られず,妊娠38週4日に選択的帝王切開術を施行した.児は2910gの男児でApgar score 8/9であった.母児とも経過は順調であった.今回,脳動脈瘤合併妊娠について文献を見直し,検討を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
180-180, 2007
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