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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(2) 術後に急性膵炎を発症した腸閉塞合併妊娠の1例
鈴木 才美, 奥田 靖彦, 三宅 麻喜, 須波 玲, 奈良 政敏, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学産婦人科
今回我々は腸閉塞合併妊娠において早期に外科的治療を施行し,母児ともに救命したものの,術後に急性膵炎を発症し回復に長期間を要した症例を経験したので報告する.症例は36才の初産婦で,虫垂炎および腸閉塞解除術の既往歴があった.近医にて妊娠管理されていたが,妊娠35週5日に嘔吐と腹痛を認め,絶食と補液にても改善がみられないため,2日後の妊娠36週0日に当院へ緊急搬送となった.吐物は胆汁様であり,超音波検査にて拡張した小腸像,さらに腹部X線写真にてNiveau像を認めたため,腸閉塞合併妊娠と診断した.直ちに緊急帝王切開術を施行し,2454gの女児をApgar score 8,9点にて娩出した.腸閉塞の原因は,小腸間膜と上行結腸の間に索状物が形成され索状物の下に小腸が走行していたが,増大した子宮により圧迫,狭窄したためと推定された.索状物の切除のみで腸閉塞は解除された.術後3日目に経口摂取を開始して経過良好であったが,術後10日目に上腹部痛,膵酵素の上昇およびCTにて膵尾部の腫大を認め,急性膵炎と診断した.絶飲食およびメシル酸ガベキサートの投与により軽快するものの,経口摂取の再開とともに増悪を繰り返し,術後37日目に退院となった.腸閉塞合併妊娠は母児の死亡例も報告されており,診断後早期の外科的治療が推奨されている.早期の外科的治療により母児の生命予後が期待できるものの,本症例のような術後合併症にも留意すべきであると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
181-181, 2007
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