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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(2) 経肛門的イレウスチューブが有用であった帝王切開後に発症したOgilvie症候群の1例
大原 樹1), 矢作 奈美子1), 大熊 克彰1), 水原 浩1), 栗林 靖1), 石塚 文平2)
川崎市立多摩病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)
【緒言】Ogilvie症候群とは,器質的な狭窄の認められない結腸の急性仮性閉塞で,機械的イレウス症状を呈する疾患である.今回,われわれは経肛門的イレウスチューブ挿入が有用であった帝王切開後に発症したOgilvie症候群の1例を経験したので報告する.【症例】患者は30歳,1経妊0経産.妊娠40週3日,前期破水にて入院,妊娠40週4日,胎児心拍モニタリング上non reassuring fetal statusを認めたため,緊急帝王切開術を施行した.出生体重3400g,男児,Apgar score 1分後9点,5分後10点であった.術後4日目に腹部膨満感が出現,腸雑音聴取,排ガス,少量の排便を認めた.術後5日目,腹部膨満感が増強し,禁飲食としpanthenol,PGF2αの点滴静注,大建中湯の内服などの保存的治療を施行した.術後7日目,腹部膨満感改善認めず,腹部X線上,横行結腸から下行結腸に限局した著明なガス像を認めた.しかし,明らかな鏡面像は認めなかった.以上の臨床症状およびX線所見からOgilvie症候群を強く疑い,外科と相談の上,拡張腸管の減圧を目的に,経肛門的にイレウスチューブを拡張腸管に挿入し,持続的に減圧を行った.挿入翌日には減圧効果が認められ,挿入4日目には排便時にチューブが自然抜去した.その後は緩下剤を内服投与して排便のコントロールを行い,経過順調で術後22日目に退院した.現在も外来通院中であるが,経過は順調である.【考察】Ogilvie症候群は腸管穿孔を引き起こす可能性があり,早期に診断,治療が必要な疾患である.帝王切開術後に腹部膨満を主訴とする急激な結腸を認めた場合は,本症候群も考慮し鑑別診断と治療にあたる必要性があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
183-183, 2007
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