|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(3) 多発性骨髄腫合併妊娠の一例
中西 美紗緒1), 山本 直子1), 岡 朱美1), 水主川 純1), 桝谷 法生1), 定月 みゆき1), 五味淵 秀人1), 箕浦 茂樹1), 三輪 哲義2)
国立国際医療センター病院産婦人科1), 国立国際医療センター病院血液内科2)
多発性骨髄腫(multiple myeloma;以下MMと略す)は,免疫グロブリン産生細胞である形質細胞のクローン性増殖をその本態とする腫瘍であり,多様な機序を介し,造血障害,腎障害,骨障害等の多彩な臨床症状を呈する疾患である.MMは一般に,高齢発症の傾向を示すため,MM合併妊娠の報告は極めて稀である.今回,MMの診断後,胚凍結保存を行い,ビスホスフォネート剤(bisphosphonate;以下BPと略す)のみで治療後,一定期間休薬し,その後,凍結保存胚を解凍,胚移植で妊娠したMM合併妊娠の症例を経験したので報告する.症例は,36歳,初産婦.非妊娠時の検診で高蛋白血症を指摘.血清及び尿中のM蛋白と,骨髄の形質細胞の増加等を認め,MM(IgG-κ型M蛋白,Durie-Salmon stageIA, ISS stageI,表面マーカーはCD38+,CD138+,CD19−,CD56−,染色体分析は46XX)と診断された.妊娠中,BP投与中止にかかわらず,MMの病勢増悪を認めなかった.また,産科的合併症も認めなかったが,MMによる易骨折性,易感染性,出血傾向を考慮し,予定帝王切開術の方針となった.妊娠38週3日に帝王切開術を施行し,3285gの男児,Apgar 9点(1分値),9点(5分値)を娩出した.母体は,術後経過良好で第10病日に退院した.現在,BP投与を再開し,外来で経過観察中である.MM合併妊娠について若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
183-183, 2007
|