|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
合併症妊娠(3) 自己免疫性肝炎合併妊娠の一例
大井 由佳1), 北川 雅一1), 門脇 綾1), 最上 多恵1), 片山 佳代1), 長谷川 哲哉1), 田野島 美城1), 小川 幸1), 齋藤 圭介1), 奥田 美加1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学付属市民総合医療センター母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)
自己免疫性肝炎は妊娠可能年齢の女性に比較的よくみられ,合併妊娠においては早産やPIHなどの頻度が増すという報告がある.今回我々は,妊娠初期に自己免疫性肝炎を発症し,妊娠31週で早産に至った症例を経験したので報告する. 【症例】30歳,2経妊1経産,既往歴に特記すべきことなし.妊娠16週で黄疸と倦怠感が出現したため当院に紹介され入院となった.入院時,AST/ALT:1433/1204(U/I),T.bil/D.bil:21.2/13.7(mg/dl),γ-GTP:106(U/I),LDH:1254(U/I),ALP:453(U/I),Plt:23(万/μl).血圧は正常だった.肝生検では特異的な所見はなく,超音波検査では胆道閉鎖・拡張・脂肪肝などを認めなかった.以上からHELLP,妊娠性脂肪肝は否定的であり自己免疫性肝炎が疑われた.プレドニゾロン(PSL)30mg/日の内服を開始したところ肝機能は著明に改善し,諸検査結果と臨床経過を合わせて自己免疫性肝炎と診断した.妊娠19週でAST/ALT:56/60,T.bil/D.bil:6.4/4.3となり,以後外来管理とした.PSLは漸減され,妊娠30週の時点で15mgとなっていた.妊娠30週2日,前期破水のため入院し,妊娠31週0日,1170gの男児をAp9/9で頭位で経膣分娩した.児はNICUに入院となったが,重篤な合併症なく経過している.母体の産褥経過も良好であり,肝機能の再増悪も認めなかった.PSLは15mg/日で内服継続している. 妊婦の肝機能異常を認めた場合には,自己免疫性肝炎も鑑別診断に含める必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
188-188, 2007
|