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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮破裂 当科で経験した子宮破裂の5例
松原 直樹, 竹内 はるか, 大野 珠美, 山崎 輝行
飯田市立病院産婦人科
分娩に伴う子宮破裂を5例経験したので報告する.3例は既往帝王切開術後の経腟分娩(VBAC)の時に発症した.<症例1>分娩時には特に異常無く分娩後2日目にイレウスを発症したことで診断された.<症例2>分娩経過中に,持続性徐脈があり緊急帝王切開術を施行したが,子宮は破裂し胎児は腹腔内に一部脱出していた.<症例3>微弱陣痛のためPG錠内服およびオキシトシン静注で陣痛増強,吸引分娩での分娩を行った.分娩直後に母体ショックとなり搬送され開腹術を行った.この3例はいずれも子宮は温存可能であった.残り2例のうち,1例<症例4>は子宮筋腫核出後の初回妊娠であり,切迫早産で入院中,妊娠34週に急性腹症で発症した.胎児徐脈が出現したため,帝王切開術を行ったところ子宮瘢痕部の子宮破裂と診断した.<症例5>子宮手術の既往がない2回経産婦で,微弱陣痛のためPG錠内服による陣痛誘発を行った.分娩後にショックとなり,緊急開腹術を行った. 子宮破裂は,前回帝王切開術や筋腫核出術など既往子宮手術がある場合にはその頻度は高くなる.また,自然分娩に対して巨大児の分娩,回旋異常時の分娩,陣痛促進剤の投与による分娩の時には子宮破裂は起こりやすくなる.リスクのない正常産の場合では発症の予測は困難であるが,VBAC時や陣痛促進剤の使用時には分娩中だけでなく分娩終了後でも,異常な腹部痛を訴える,血圧低下などのショック症状が見られるときは常に発症の可能性を念頭に置く必要がある.また,ひとたび発症した場合,母児ともに致命的となることもあり,VBACは本人,家族に十分な説明を行い同意を得た上で,十分な人員と設備が整った施設において試みる必要があると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
190-190, 2007
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