|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮破裂 2経産婦で誘発時子宮破裂をきたした一症例
中村 友紀, 徳永 直樹, 内田 季之, 久保 愛子
富士宮市立病院産婦人科
緒言:先進国間では子宮破裂の頻度は約3000分娩に1例とされ稀な疾患ではあるが,発症すると母体の死亡率は3.7%,胎児死亡率は50〜75%ときわめて深刻な病態である.今回われわれは経産婦の誘発分娩時の子宮破裂を経験したので報告する.症例:33歳,2G2P(2児とも正常経膣分娩)近医で妊婦健診をされ,妊娠経過は特に問題なく,予定日超過のため誘発目的にて41週5日で前医入院.内診所見は子宮口3cm開大,展退度70%,ST-3,後方であり,PGF2αで誘発を開始した.有効陣痛をつけるため増量していき2時間経過したところ,患者が突然の右下腹痛を訴え胎児心音が80〜90台に低下.子宮破裂が疑われ,緊急帝王切開を施行した.開腹時子宮右側卵管起始部から内子宮口にかけ大きな破裂口を認めた.下腹痛発症から19分の時点で児娩出するも児の救命は不可能であった.止血困難であったため,輸血しながら当院に緊急搬送され,右傍子宮組織内の静脈破綻部を止血し,子宮全摘出術を施行した.出血量は4435ml.手術直後はDICの状態であったが,人赤血球濃厚液,新鮮凍結人血漿,AT製剤,メシル酸ガベキサート製剤,ウリナスタチンの投与などを行い回復し,術後8日目で退院となった.本症例について若干の文献的考察を含めて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
190-190, 2007
|