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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
常位胎盤早期剥離 常位胎盤早期剥離によるIUFD,DIC,腎不全,PRESを発症した一例
漆原 知佳, 廣瀬 一浩, 高瀬 健吉, 小足 有紀, 三村 貴志, 神保 正利, 小林 圭子, 森山 修一
千葉西総合病院産婦人科
常位胎盤早期剥離(早剥)はDICの併発,さらに急性腎不全などの重篤な合併症を併発しうる疾患である.今回我々は,早剥によるIUFDにて帝王切開施行後,DIC,急性腎不全,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)を合併し救命しえた1例を経験したので報告する.症例は39歳,1経妊0経産.他院にて妊婦健診しており,34週0日に当院初診.妊娠経過は体重増加13kg,下腿浮腫(++)であったが,尿蛋白(−),血圧122/72mmHgであった.妊娠36週0日妊婦検診受診時,血圧139/83mmHgと軽度上昇あり.妊娠36週5日,持続的な不正性器出血と陣痛様腹痛にて来院.来院時,性器出血多量,腹部板状硬であり,早剥によるIUFDを強く疑い,緊急帝王切開術を施行し術中所見から早剥と診断した.術前から産科DICスコア13点であり術中より血液製剤投与・抗DIC療法開始しICU管理を行った.術後1日目,創部より出血1日量6000ml以上あり,2日目に再開腹したが明らかな出血源はなく,血腫除去後DICは改善し出血量も減少した.3日目に人工呼吸器離脱となるが,鎮静剤終了後も覚醒悪く,4日目に脳CT施行し,後頭葉から頭頂葉を中心に脳浮腫認められ,PRESと診断した(後日脳MRIにて右後頭葉にT2,FLAIRで高信号を示した).また乏尿・腎機能低下を認め,肺水腫も悪化したため再度挿管しCHFを開始した.CHFを6日間施行し離脱後は徐々に状態改善し,神経学的にも大きな後遺症なく術後66日目に退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
192-192, 2007
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