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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
胎児異常(3) 当科における胎児精密超音波スクリーニングの実態
小谷 美帆子, 栗城 亜具里, 清河 翠, 隅 靖浩, 近藤 哲郎, 安藤 直子, 佐々木 康, 小川 公一, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
近年,産科診療における胎児精密超音波検査の役割は非常に大きくなってきている.またこの重要性の啓蒙も進み,ここ数年で実際に広く行われるようになってきた.当院では2005年5月より妊婦健診中に1回の胎児精密超音波スクリーニング検査(以下,検査)を行ってきた.今回,検査開始から1年間の分娩結果が明らかとなったことから,その診断精度や問題点を検討し今後の課題を提示したい. 当院では,妊娠26週前後にチェックリストに沿って検査を行っている.検査は健診担当医以外の医師が行い,異常が確認あるいは疑われた際は担当医に報告する.担当医は小児科医や小児外科医とともに診察を行い,胎児診断の告知を行う.帰省分娩症例は,当院へ帰省後に検査を行っている. 1年間の検査件数(分娩結果の明らかなもののみ)は561症例で,出生時に先天性奇形を認めた症例は13例であった.検査で異常と診断されたものは7例(53.8%)だが,1例は胎児診断TGA,新生児診断TOFと正診には至らなかった.異常の内訳は外表4例(胎児診断0例),頭頸部1例(同1例),心臓4例(同3例),泌尿器2例(同2例),臍帯ヘルニア1例(同1例)であった.外表の異常は副耳3例と耳のろう孔1例であり,超音波診断は困難であったと考えられた.検査の完遂率(チェック項目すべてが確認可能であった割合)は76.6%であった. 現在当院には超音波専門医はおらず,産婦人科経験1年〜15年の医師が交代で検査に当たっている.医師の人数・診察室や超音波の数の問題から,1人の妊婦に1回の検査が限度である.これまで検査を完遂できなかった症例の中に重症奇形の児はなかったが,今後は検査施行医の技術的向上や検査完遂率の向上が重要な課題であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
194-194, 2007
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