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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
胎児異常(4) 分娩進行中に胎児母体輸血症候群を発症したD-D twinの一例
大塚 純子1), 三村 貴志2), 横川 香1), 横山 和彦1), 齋藤 裕1), 関沢 明彦3), Yuditiya Purwosunu3), 久保 隆彦4)
昭和大学藤が丘病院産婦人科1), 千葉西総合病院産婦人科2), 昭和大学産婦人科3), 成育医療センター産婦人科4)
分娩進行中に双胎第1子の突然のNRFSにて緊急帝王切開を施行するも第1子を救命し得なかったD-D twin症例で,産褥5日目の母体末梢血から胎児遺伝子(DYS14)を検出し,胎児母体輸血症候群(feto-maternal transfusion)を証明し得た一例を報告する.<症例>36歳,2経妊1経産.妊娠29週3日,切迫早産(D-D twin)にて入院,子宮収縮抑制剤を投与した.妊娠35週0日,破水後陣発,分娩管理となる.子宮口4cm開大の時点で第1子の突然の胎児心拍低下を認めたため,緊急帝王切開を行った.出生直後(APS0/0)よりNICU医師による蘇生行うも,救命出来ず.児は男児で重度の貧血を示し,患児のホルマリン固定胎盤で高度な虚血性変化を認めたため,その原因として胎児母体輸血症候群を疑い,産褥5日目母体血を採取した.母体血漿からcell-free DNAを抽出,real-time PCRで胎児遺伝子を検出した.HbFは検出不能であったが,母体血中に胎児遺伝子を17copies/ml認めた.<結論>胎児母体輸血症候群は何らかの原因で胎児血が母体に流入し,胎児の急性循環不全を呈する稀な疾患であり,その診断には発症後早期の母体血中胎児細胞の証明が必要とされる.従来から母体血中に微量の胎児遺伝子が存在するも,分娩後1日目には消失するとされている.今回,産褥5日目の母体血漿中に微量の胎児遺伝子を証明したことからNRFSの原因は分娩時に急速に発症した胎児母体輸血症候群によるものと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
196-196, 2007
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