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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
胎児異常(4) 分娩前後における尿中バイオピリン値のストレスマーカーとしての有用性について
鈴木 美智子, 礒西 成治, 楠原 淳子, 高橋 絵理, 小倉 麻子, 国東 志郎, 平間 正規, 小林 重光, 落合 和彦
東京慈恵会医科大学産婦人科
【背景】ビリルビンの酸化代謝生成物質バイオピリンの定量は,酸化の強度を反映する臨床検査として酸化ストレスの程度を反映すると考えられ,開腹手術,高脂血症薬,虚血性心疾患,中枢性疲労などにより尿中バイオピリン値の上昇が認められている.我々は,分娩前後における尿中バイオピリン値を測定し分娩におけるストレスの関与について検討した.【方法】インフォーム・コンセントを得た入院患者7例を対象とし,陣痛前,陣痛中,分娩後の尿中バイオピリン値を測定し,それぞれのバイオピリン値の上昇率と,分娩様式,臍帯動脈血pH,母体の年齢,分娩時間,出血量との相互関係を検討した.【結果】自然頭位分娩症例と帝王切開例において上昇率は軽度の上昇傾向(125±25%;M±SE)にあり,誘発分娩を施行した症例に高い(297±143%;M±SE)傾向にあった.児の初尿バイオピリン値は19.3±11.9U/g・Cre;M±SDであり,このうち高値症例に上昇率が高い(r=0.976)傾向にあった.臍帯動脈血pHは7.311±0.079U/g・Cre;M±SDであり,このうち低値症例に分娩時尿中バイオピリン値が高い(r=−0.961)傾向にあった.出血量,分娩時間,年齢においては,この7例には相関を認めなかった.【総論】尿中バイオピリン値は,分娩様式により変化することから分娩時ストレスの指標となり,また,臍帯動脈血pH,児のストレスを反映することが示唆された.現在さらに,追加20症例のデータ解析中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
198-198, 2007
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