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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
前置胎盤・癒着胎盤
当科で経験した前置癒着胎盤4症例の検討―その診断と予後について―


川端 伊久乃, 大屋 敦子, 山田 隆, 林 昌子, 奥田 直貴, 高橋 肇, 横田 明重, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院産婦人科


 前置癒着胎盤は,分娩時の多量出血から母体死亡もおこす重篤な疾患である.近年増加傾向であり,その診断・管理方法は非常に注目されている.当科では,過去2年間に4例の前置癒着胎盤を経験した.今回,その診断方法を中心に後方視的検討を行った.対象症例は,平均年齢37歳,3例は2回の帝王切開の既往があり,1例は1回の帝王切開術であったが,帝切時に頚部近傍の筋腫の核出術を行っている.前回帝切から今回妊娠までの期間は平均3.3年であった.癒着胎盤をはじめに疑ったのは16週〜22週であり,2例は16週で経腟超音波上lacnar blood flowが認められた.この2例は胎盤浸潤の程度が強く,手術後膀胱腟瘻となった.1例は,超音波上sonolucent zoneが比較的保たれており,lacnar blood flowは確認出来なかった.この1例は帝王切開時に胎盤用手剥離を行ったが,術後多量の出血を認め子宮全摘術となった.MRIは全ての症例で,癒着胎盤を疑う所見が見られたが,確定診断には至らなかった.膀胱鏡検査は3例で施行,いずれの症例も膀胱粘膜の血管怒張がみられた.1例は24週で膀胱タンポナーデのため膀胱鏡は施行できなかった.3例が出血コントロール不能のため,緊急帝王切開術となった.この3例は内子宮口付近の胎盤が徐々に肥厚する傾向がみられた.予定帝王切開となった1例は,低置胎盤であり,子宮口近傍の胎盤にあきらかな変化は見られなかった.今回の検討より,妊娠初期からlacnar blood flowのみられる症例は,筋層への浸潤が深く,尿路損傷のハイリスクであると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 198-198, 2007


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