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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
前置胎盤・癒着胎盤 癒着胎盤の診断にて産褥搬送された3症例
長谷川 哲哉1), 小川 幸1), 野中 愛1), 大井 由佳1), 門脇 綾1), 最上 多恵1), 片山 佳代1), 野村 可之1), 斉藤 圭介1), 奥田 美加1), 高橋 恒男1), 平原 史樹2)
横浜市立大学附属市民総合医療センター母子医療センター1), 横浜市立大学産婦人科2)
経腟分娩の際,児娩出までの経過が良好であっても胎盤が容易に娩出されない状況に遭遇することがある.今回,他院にて胎盤が娩出されず癒着胎盤の診断で搬送されたものの,比較的容易に胎盤用手剥離可能であった3症例を経験したので報告する.【症例1】22歳,1G1P.既往歴,家族歴に特記事項なし.妊娠経過は順調であった.妊娠39週1日に正常経腟分娩したが,児娩出後1時間経過しても胎盤が娩出されず,癒着胎盤の疑いで搬送された.全身麻酔下に用手的に胎盤剥離可能であった.分娩後の総出血量は約2000g.母体Hbは6.1g/dlまで低下した.【症例2】28歳,0G0P.既往歴,家族歴に特記事項なし.40週1日に正常経腟分娩となる.数回の胎盤用手剥離術を試みたが剥離できず,児娩出10時間後に癒着胎盤の疑いで搬送された.当院到着までに1190gの出血あり.全身麻酔下で胎盤は用手的に容易に剥離した.胎盤剥離後に弛緩出血あり.また,多量出血による凝固異常あり,止血困難でMAP 2U,FFP 4Uの輸血を要した.経過中の総出血量は約2500gとなった.【症例3】34歳,0G0P.腹腔鏡下での子宮内膜症の手術歴あるものの,子宮の操作はなし.妊娠経過は順調であった.妊娠40週2日に正常経腟分娩となった.児娩出後12時間しても胎盤剥離せず搬送となった.当院到着までに約1000gの出血あり.全身麻酔下で容易に胎盤用手剥離可能であった.いずれの症例も,すべての処置は十分なインフォームド・コンセント下におこなった.子宮手術歴のない癒着胎盤は稀な疾患で,これら3症例も癒着胎盤疑いとされながら比較的容易に胎盤用手剥離が可能であり,迅速な対応により分娩後の出血量が軽減できた可能性が考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
199-199, 2007
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