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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
感染症他 当センターに膣壁裂傷・血腫に対し動脈塞栓術を施行した症例の検討
松村 英祥1), 海老根 真由美1), 村山 敬彦1), 高井 泰2), 斎藤 正博1), 林 直樹1), 馬場 一憲2), 関 博之1)
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター産科1), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2)
[緒言]分娩時及び産褥期の出血は母体死亡原因の第一位であり,分娩後出血の際,出血性ショックやDICを併発し止血操作が極めて困難となることがあり,以前は子宮摘出などが行われた.1979年Brownらにより骨盤動脈塞栓術が最初に報告され,その後は現在まで有効性が注目されている.今回当院で産褥出血の原因として膣壁裂傷・血腫に対し,骨盤動脈塞栓術を施行した症例を通しその適応や問題点,産褥出血に対する対応について考察した.[対象]平成13年1月から平成18年12月の6年間に当センターで経験した膣壁裂傷・血腫が産褥出血の主原因と考えられ,骨盤動脈塞栓術を施行した7症例について検討を行った.[結果]当院で発生した症例は2例,搬送例は5例であり初産婦は3例,経産婦は4例であった.分娩週数は6症例が39週以降であり,分娩方法は吸引又は鉗子分娩が5例,正常分娩は2例であった.骨盤動脈塞栓術を施行するまでの時間は15.6±2.4時間,産科的DIC scoreは平均12±3であり,塞栓までの総出血量は4289±1137mlに対し塞栓後の総出血量は1139±953mlと塞栓術による効果を認めた.動脈塞栓術の部位としては5例が両側子宮動脈,2例が両側内腸骨動脈にて施行した.[結語]当院で経験した膣壁裂傷・血腫7症例の止血コントロールに対し骨盤動脈塞栓術は有効であった.殆どの症例で膣壁裂傷・血腫に対する初期治療及びその後の出血多量に対する治療の遅れが全身状態を悪化させており,高次医療機関へ搬送するタイミングを含め症例により検討していく必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
204-204, 2007
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