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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
早産 切迫早産の長期入院加療後に,手術時多量出血のため腟上部切断術を施行した反復帝王切開の1例
三村 貴志1), 廣瀬 一浩1), 高瀬 健吉1), 小足 有紀1), 漆原 知佳1), 神保 正利2), 小林 圭子1), 森山 修一1)
千葉西総合病院産婦人科1), 東京女子医科大学八千代医療センター産婦人科2)
分娩時多量出血は妊産婦死亡の原因となる重篤な合併症であり迅速な対応が要求される.今回,塩酸リトドリンを長期使用した切迫早産患者の反復帝切時に弛緩出血のために急激に血圧低下を認めたために腟上部切断術を施行した1例について報告する.症例は31歳,1経妊1経産,前回既往帝切(分娩停止)あり.妊娠27週より切迫早産のため当院入院とし塩酸リトドリン100γの持続点滴にて管理していたが,31週より痛みを伴う子宮収縮を認め200γまで増量していたため当院での周産期管理が困難と判断し他院へ母体搬送.その後,搬送先で36週まで分娩に至る事なく経過したため(塩酸リトドリン166γまで減量),当院分娩希望のため帰院.37週に予定帝王切開の方針とした.塩酸リトドリン点滴を帝切当日朝まで継続し,午後腰椎+硬膜外麻酔下に手術を施行し,3004gの女児,Ap8/9を娩出した.児娩出時に多量の腟出血があり,胎盤は1100gと大きく浮腫状,脆弱であり胎盤剥離部の子宮筋層は菲薄化していた.胎盤娩出直後から子宮収縮は不良であったため,マレイン酸メチルエルゴメトリン静注,プロスタグランディンF2α局注し,子宮マッサージを施行しつつ,子宮筋切開部縫合を行った.出血量はすでに3000mlとなり,母体収縮期血圧が60台と低下し,子宮収縮極めて不良,腟出血も持続していたため,母体救命のため全身麻酔下に腟上部切断術を施行した(輸血は8単位施行).術後は産科DIC等の重篤な合併症を引き起こすことなく順調に回復し術後10日目で母児ともに退院した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
206-206, 2007
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