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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
早産
マイコプラズマ起因性絨毛膜羊膜炎の1例


田中 利隆, 伊藤 茂, 牧野 真太郎, 加塚 有紀, 米本 寿志, 竹田 省
順天堂大学医学部産婦人科


 マイコプラズマは腟からの上行性感染により絨毛膜羊膜炎や胎児への感染を引き起こし流早産の原因となると考えられている.今回マイコプラズマ感染症により絨毛膜羊膜炎に至り早期産となった1例を経験したので報告する.症例は29歳初産,24週の腟培養検査でGardnerella vaginalis(4+)のため腟洗浄と抗生剤(chloramphenicol)の局所投与を行ったが,27週6日高位破水のため入院,入院時の腟培養検査でGardnerella vaginalisは陰性だった.入院後抗生剤(CEZ)の点滴と子宮収縮抑制剤の点滴を行ったが,28週1日白血球19500,CRP7.2と上昇,母体発熱も認めたため,子宮内感染疑いで緊急帝王切開術を施行した.羊水は淡黄色透明で培養検査は陰性だった.児は1180g,Apgar score7/9,出生時感染徴候は認めなかった.母体は術後発熱が続きCRP30台まで上昇,術後5日目創部離開,抗生剤を変更(DRPM)し経過観察したが症状改善せずまたCTで子宮前壁側に膿瘍の形成が疑われたため,術後10日目開腹腹腔内膿瘍ドレナージ術を施行した.通常の培養検査で同定できない原因菌も考慮し追加検査施行,創離開部,膿瘍部,子宮腔内よりMycoplasma hominisが検出された.そのためerythromycinの点滴を開始,炎症所見・全身状態ともに改善した.今回原因菌の同定が困難で,治療に苦慮した絨毛膜羊膜炎を経験した.マイコプラズマの保菌および感染と妊娠予後の関係についていまだその評価は定まっておらず,また妊娠中のそれらに対する治療の有効性も確立していない.しかしながら今症例のように通常の培養検査では起炎菌が同定できない場合には,マイコプラズマ感染も念頭に置く必要があると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 207-207, 2007


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