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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 膀胱子宮窩腹膜妊娠の1症例
松村 聡子, 鶴田 智彦, 浅井 哲, 池澤 奈々, 峰岸 一宏, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科
【緒言】子宮外妊娠における腹膜妊娠の発生頻度は1.4%と極めて低いものとされる.今回我々は急性腹症にて救急外来を受診し子宮外妊娠を疑われ,膀胱子宮窩腹膜妊娠と診断された症例を経験したので報告する.【症例】43歳女性,1経妊1経産,38歳時に微弱陣痛にて第一子を帝王切開で出産の既往があった.今回無月経8週,3日前から続く腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.血圧80/20mmHg,心拍数80回/分,性器出血を認めなかった.尿中HCGは陽性であったが,経膣超音波上子宮内に胎嚢は確認できなかった.経腹超音波検査にてモリソン窩に厚さ5cm程の低輝度領域を認め,腹腔内大量出血による出血性ショックと判断し,子宮外妊娠疑いにて緊急開腹術となった.開腹所見として腹腔内出血(2000ml)を認めたが両側付属器に異常所見を認めなかった.膀胱子宮窩腹膜より活動性出血を認めた.同部位の組織と子宮内容物を病理組織検査へ提出し,止血術を施行し閉腹とした.術中に採取した血中HCGは3531mIU/mlであったが,術後順調に減少し術後8日目に退院となった.術後20日目には血中HCGは3mIU/mlまで低下した.病理組織検査は膀胱子宮窩腹膜の組織よりtrophoblastが確認された.子宮内容物からは絨毛・胎児成分は認められず,以上のことから腹膜妊娠の診断となった.【結語】腹膜妊娠は術前診断として困難な場合が多い.子宮外妊娠を疑った場合には稀ではあるが腹膜妊娠も考慮する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
208-208, 2007
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