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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 帝王切開瘢痕部妊娠の一例
深見 武彦, 佐藤 杏月, 渋井 庸子, 坊 裕美, 柿栖 睦実, 松島 隆, 土居 大祐, 可世木 久幸, 朝倉 啓文, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
【緒言】近年帝王切開の増加に伴い帝王切開後の妊娠頻度は高まり,それに伴う周産期リスクも無視できない状況である.帝王切開瘢痕部妊娠は比較的まれではあるが,妊娠経過に伴い子宮破裂や大量出血の危険が増加するので早期の診断・治療が必要である.今回妊娠8週より治療を行った帝王切開瘢痕部妊娠の一例を経験したので報告する.【症例】36歳 6経妊2経産(帝王切開2回)平成18年5月に他院にて妊娠の診断を受けた.6月より性器出血が継続し,前医にて瘢痕部妊娠と診断され,6月12日(8週0日)当科に紹介初診となった.初診時経腟超音波にてGSは子宮体部下部にあり,GS周辺の絨毛と思われる高輝度領域が瘢痕部に侵入していた.CRLは15mmで胎児心拍も確認でき,血中hCG値は205,440IU/lであった.同日入院,6月16日にMTX 50mgを超音波ガイド下にGS内へ局注し20日には胎児心拍は消失した.30日にも同様にMTXを投与し7月11日にはGSは消失したが,カラードプラでは瘢痕部の血流は豊富であった.さらに15-19日にかけてMTX 20mg iv/dayを追加したところ18日に血中hCG値は2.660IU/lまで下降した.しかし7月19日に大量出血を来したため,翌20日に子宮動脈塞栓術を行い,後日合わせてD/Cを施行し29日にはMTX 50mgを子宮腔内へ投与した.その後8月4日にはhCG値は26IU/lとなり,パワードプラ上瘢痕部の血流も消失し翌5日に退院となった.9月2日にはhCG-β値もカットオフ値以下となった.その後のMRI画像では瘢痕部の筋層は欠落しており,瘢痕部形成術も考慮におきつつ現在外来でフォローアップ中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
209-209, 2007
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