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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠 帝王切開瘢痕部妊娠の1例
渡邊 弓花, 土井 めぐみ, 小林 陽一, 鈴木 直, 斉藤 寿一郎, 木口 一成, 石塚 文平
聖マリアンナ医科大学産婦人科
帝王切開瘢痕部妊娠は異所性妊娠の中でも稀な疾患であるが,妊娠早期の段階で大量出血や,子宮破裂を起こすため迅速な診断が必要とされる.超音波検査所見として,Seowらは胎嚢が子宮内,頚管内ではなく,子宮峡部前壁に存在し,胎嚢周囲に著明な血流の増加を認めることを報告している.今回我々は,不全流産のため診断に苦慮したが,子宮動脈塞栓術で子宮を温存し得た1例を経験したので報告する.症例は40歳の1経妊1経産.大量の性器出血を認めたため,当院夜間外来受診となった.前医で稽留流産の診断を受けており,3日前から出血を認め,子宮内容除去術の予定となっていた.来院時の経膣超音波検査では子宮体部に胎嚢はなく,頚部に約4cm大の凝血塊を認めた.帝王切開分娩の既往と,頚部の凝血塊のため帝王切開瘢痕部妊娠,頚管妊娠の可能性を考慮し前医に問い合わせるも,子宮内の妊娠との診断であった.翌日,不全流産の診断で子宮内容除去術を施行した.術中,子宮頚管より凝血塊を含む絨毛組織の一部を取り出すと動脈性の出血を認め,止血困難となったため手術を中止とし,子宮動脈下降枝を結紮した.術中の総出血量は約600mlであり,術後Hb6.5と重症貧血を呈した.MRI検査では右側の帝王切開創の薄化,筋層の欠損と,その周囲の栄養血管の著明な怒張を認め,帝王切開瘢痕部妊娠と診断した.再出血の可能性が考えられ子宮全摘術を勧めるも,子宮温存の希望が強く右子宮動脈塞栓術を行った.異常血管は血流減少を認め,術後15日目で退院とした.その後HCGは陰性化し,現在のところ大量出血も認めていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
209-209, 2007
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