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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
生殖・内分泌
生殖医療,妊娠管理において集学的マネージメントを必要としたRobertson転座保因者カップルの1例


橋場 剛士, 田中 守, 末岡 浩, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科


 精子減少症,習慣流産を呈するRobertson転座保因者の高齢カップルの不妊治療において,生殖医療,遺伝学,周産期学を含む集学的マネージメントを必要とする症例を経験したので報告する.[症例]2経妊0経産の42歳の女性.28歳時より挙児希望あり,人工授精などの一般不妊治療を受けていた.31歳と36歳のとき妊娠したが,いずれも自然流産に終わっている.初診時の身体学的検査は異常を認めなかった.基礎体温は2相性,超音波断層法では複数のantral follicleを認めた.精液検査は700万/ml,運動率70%であった.精子減少症,一般不妊治療にて6年間不妊のため,体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)の方針とした.第1回目のICSIでは2個の分割期胚を移植したが,稽留流産となった.夫婦の染色体検査(実施を希望しなかった)を除く習慣流産の一般検査では異常を認めなかった.第2回目のICSIでは,3個の分割期胚移植を行い,単胎妊娠が成立した.妊娠17週にて羊水検査実施し,胎児の核型は45,XX,t(13q14q)であり,引き続き行った夫婦の核型分析は夫45,XY,t(13q14q),妻46,XXであった.妊娠20週の超音波断層法にて,右肺にcongenital cystic adenomatoid malformation(CCAM)が発見された.遺伝カウンセリングの結果,妊娠継続の方針となり,妊娠38週に児頭骨盤不均衡の適応にて帝王切開を実施した.[結語]Robertson転座保因者男性は精子減少症・無力症を呈することがあり,ICSI等の生殖補助医療が必要なことが多い.精子の核型構成により,初期流産,13トリソミー,親と同じ転座保因者,正常核型の可能性があり,また,他のトリソミー頻度も高まることが報告されている.着床前診断や出生前診断も検討する必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 211-211, 2007


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