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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
思春期・更年期・老年期
産婦人科領域における過活動膀胱の実態―外来での排尿障害アンケートの結果から―


沼田 彩, 角田 新平, 新井 正秀, 新井 努, 川口 美和, 二井 美津穂, 小野 重満, 上坊 敏子, 海野 信也
北里大学医学部産婦人科


 更年期以後の女性にとって,尿失禁を中心とした排尿障害はQOLを妨げる大きな問題である.尿失禁は一般に腹圧性,切迫性,混合性に分類されている.一方,過活動性膀胱(overactive bladder:OAB)という疾患概念が,近年注目されている.OABは「切迫性尿失禁の有無にかかわらず,通常頻尿および夜間頻尿を伴う尿意切迫感」と定義され,通常質問票を用いて診断および重症度の判定が行われる.そこで,腹圧性尿失禁に関する項目を加えたOAB症状質問票を用いて,産婦人科領域におけるOABの実態を検討した.対象は初診外来を受診した748例で,39歳以下が50.8%を占め,60歳以上は16.3%と少数であった.167例(22.3%)がOABスコア3点以上で,OABの疑いありと判定した.このうち,5点以下の軽症例が72.8%を占め,12点以上の重症例は2.4%のみであった.年齢別にOABを疑う症例の頻度をを見ると,40歳代までは20%以下と低く,50歳代で27.3%,60歳代で35.0%,70歳代で63.3%,80歳代で41.7%と,高齢者での頻度が高かった.これに対して,腹圧性尿失禁の頻度は40歳代,50歳代,60歳代で各43.6%,56.8%,48.8%と高く,その他の年齢層では低いという,OABとは異なる分布であった.OABを疑った症例のうち,排尿障害を訴えて受診したことがあるのは,28例(16.8%)のみと少数であった.今回の検討から,高齢者では腹圧性尿失禁より,OABの方が問題になること,多くの女性が症状があっても受診していないことが明らかになった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 214-214, 2007


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