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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍1 巨大卵巣腫瘍と鑑別が困難であった大網原発のMyxoid epithelioid GISTの一症例
久保 太郎, 浜田 佳伸, 坂本 秀一, 堀中 奈奈, 安藤 昌守, 友部 勝実, 矢追 正幸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科
gastrointestinal stromal tumor(GIST)は稀な腫瘍であるが,卵巣悪性腫瘍との鑑別に苦慮することが多い.今回,我々は大網原発と考えられたGIST症例を経験した.症例:62歳.妊娠,分娩歴:4経産3経妊.家族歴に特記すべきことなし.既往歴として,45歳時に子宮筋腫にて子宮を摘出.47歳時にC型肝炎でIFN治療.現病歴:検診で腹部腫瘤を指摘され,精査目的で当院を紹介受診した.腹部CT,MRI検査で腹腔内に,横隔膜直下より骨盤内に達する造影効果を有する辺縁不正な巨大腫瘍を認めた.経腹超音波検査では,高輝度,低輝度混在した信号を示す腫瘍を腹腔内に認めたが,腹水の存在は明らかでなかった.上部・下部消化管精査では特記すべき所見を認めなかった.LDH 562U/l,CA125 83.4U/l,CEA 0.6ng/ml,CA19-9 3.9U/ml,CA72-4 8.6U/mlであった.卵巣腫瘍の可能性が否定できず,悪性腫瘍が強く示唆されたため,インフォームド・コンセントを行い,開腹・腫瘍切除術を施行した.手術所見:両側附属器に特記すべき所見は認めなかった.腫瘍は表面不正で軟らかく,大網より栄養されていた腫瘍であった.大網を切除し,癒着を剥離する型で腫瘍を切除した.腫瘍重量は3000gであった.病理組織結果:類円形の核を有する細胞が増生し,細胞の包体は小さな不正形や円形好酸性の大型の包体を認めた.間質にはmyxomatousな部分や硝子化の強い部分が混在していた.免疫染色はvimentin(+),S-100(−),CD68(−),CD34(一部+),CD117(一部+),c-KIT(一部+)であった.PDGFRA exon 18 codon 842 GAC(Asp)→GTC(Val)D842Vの変異を認めた.以上より,myxoid epithelioid GISTの診断となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
215-215, 2007
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