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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍2
巨大卵巣嚢腫の術前ドレナージは有用か


信田 政子1), 村上 優1), 石黒 葉子1), 塚田 ひとみ1), 菊池 公孝1), 渡辺 未央1), 宮本 壮1), 杉原 義信2), 篠塚 孝男3), 三上 幹男4)
東海大学大磯病院産婦人科1), クリニック杉原産婦人科2), 綾瀬厚生病院産婦人科3), 東海大学医学部付属病院産婦人科4)


 【緒言】過去30年間の健康管理教育,医療機関の充実により巨大卵巣嚢腫に遭遇することは殆どなくなったが,術前嚢腫内容ドレナージの妥当性,術後の合併症などを危惧する巨大卵巣嚢腫を稀に診ることがある.今回我々は,巨大卵巣嚢腫に対し術前ドレナージをせずに手術施行し術後の合併症も認めなかった症例を経験したので,巨大卵巣嚢腫の取り扱いについて検討した.【症例】62歳,1経妊0経産.下腹部痛にて平成18年1月前医受診し腹腔内巨大腫瘤を指摘され翌日当院紹介となった.初診時腹部は著明に膨隆しており,MRI上,骨盤から上腹部に及ぶ巨大な一部充実部を認める多房性嚢胞性腫瘍を認めた.悪性の疑いもあり,術前ドレナージは行わずに開腹手術を施行した.開腹時癒着は無く,腫大した右卵巣は腹壁外に脱出可能で右付属器切除を施行.術中バイタルサインの大きな変動は無く,単純子宮全摘,左付属器切除を追加した.術中迅速診断は粘液性嚢胞腺腫で悪性所見を認めず手術終了とした.出血量は440ml,腫瘍重量は約8kgであった.術後は大きな合併症も無く術後8日目に退院となった.【結語】巨大卵巣嚢腫の37%が悪性もしくは境界悪性であり,その多くは術前,術中に内溶液のドレナージを行っていた.一方,過去の報告で最大の卵巣嚢腫は135kgであり,この症例は術前ドレナージを試行していない.また近年,内容液漏出防止の工夫としてゴムシートやフリーサイズポートを使用したという報告もある.術中・術後管理においてドレナージを行うことの利点は産婦人科医や麻酔科医の間で未だ議論のあるところであり,今回は巨大卵巣嚢腫の取り扱いについて文献的な検討を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 218-218, 2007


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