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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍3 深部静脈血栓症を合併した卵巣明細胞腺癌の1例
間崎 和夫, 蓬田 奈保子, 田岡 英樹, 花上 まゆ, 中上 弘茂, 松江 陽一, 渡辺 慎一郎, 土屋 雄彦, 大村 剛, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
近年静脈血栓症が増加しており,手術例には血栓塞栓予防ガイドラインにそった管理が行われている.今回われわれは深部静脈血栓症を合併した卵巣明細胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は47歳,0回経妊0回経産,閉経45歳.下肢の痛みを主訴に近医受診し,骨盤内腫瘍を指摘され当科に紹介された.腹部には小児頭大の骨盤内腫瘍を認め,下肢の腫脹を認めた.経腹超音波検査所見で約15cm大の充実性と嚢胞性部分からなる骨盤内腫瘍と少量の胸腹水を認め,腫瘍マーカーはCA125 3284U/ml,CA19-9 710U/ml,SLX 924U/mlで悪性卵巣腫瘍が疑われた.凝固系検査はPT 14.5秒,APTT 28.7秒,フィブリノーゲン260mg/dl,Dダイマー54μg/ml,FDP 62μg/ml,下肢血管超音波検査で両側下肢に深部静脈血栓症を認めた.血液ガス所見はpH 7.405,PaO2 75.8mmHg,PaCO2 39.9mmHgと低酸素血症を認め,肺血流シンチグラフィーにて肺血栓塞栓症と診断された.左胸腔穿刺で胸水を約400ml採取し細胞診はclassIIIであった.術前にヘパリン持続静注点滴(10,000〜15,000単位/日)を12日間行い,下大静脈フィルター(permanent type)を留置後,単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,リンパ節郭清術,大網切除術を行った.左卵巣は15cm大,重さ1050g,病理結果は卵巣明細胞腺癌,進行期はpT1cN0M0であった.術直後はヘパリンカルシウムの皮下注射(10,000単位/日),6病日からはワーファリン3mgの内服を開始し,その後パクリタキセル,カルボプラチンによる化学療法を施行した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
219-219, 2007
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