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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍4 Interval debulking surgery時の術中腹水細胞診が有効に機能した進行卵巣がんの一例
楯 真一, 松井 英雄, 川野 みどり, 海野 洋一, 平敷 好一郎, 平井 真紀子, 碓井 宏和, 三橋 暁, 生水 真紀夫
千葉大学婦人科
我々はinterval debulking surgery(IDS)時の腹水細胞診が予後因子として重要であると報告してきた.今回,IDS中の腹水細胞診を考慮に入れ術中に術式を変更した症例を経験したので報告する.【症例】65歳 女性.腹満感にて緊急入院.腹満感軽減目的に計3回の腹水穿刺をおこない,7500cc排液した.細胞診では腺癌が認められた.精査より進行卵巣がんの診断にて手術となる.初回手術時所見は子宮膀胱窩,ダグラス窩,大網,小腸腸間膜に最大径8cmの播種結節を認めた.また肝表面および横隔膜下に播種を認めた.両側付属器切除および部分大網切除術施行されるも,最大8cmの腫瘍を残存させる手術にとどまった.病理学的には漿液性腺癌(G2)で10%程度に明細胞腺癌の成分が認められた.術後1週間後よりpaclitaxel,carboplatin療法を6コース施行した.化学療法の効果判定はPRと診断された.interval debulking surgery時の手術所見は,骨盤腔内および腹腔内に肉眼的播種病変著明で,ダグラス窩腹膜に最大5cm腫瘍を認めた.横隔膜下腹膜にも同様に播種を認めた.腹水は認められず,洗浄腹水細胞診および播種結節の生検をおこない,閉腹をはじめた.しかしその後の迅速の報告では,腹水細胞診では腺癌は認められず,組織診では変性および壊死成分のみであった.再開腹後,子宮全摘術および残存結節の切除,後腹膜リンパ節廓清施行した.その後の永久標本では一部にのみviableな癌の残存が確認された.術後補助化学療法3コース施行し経過観察にはいるも,再発徴候は認めない.【結語】腹水細胞診陰性の場合,肉眼的に播種を想定するも,病理学的には変性壊死が著明である症例を経験した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
220-220, 2007
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