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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮腺筋症・子宮筋腫 妊娠中の子宮内膜症性卵巣嚢胞の悪性転化と脱落膜変化の鑑別の可能性
岩本 豪紀1), 薬袋 牧子1), 渡邉 直子1), 鈴木 真梨子2), 平田 修司2), 星 和彦2)
山梨赤十字病院産婦人科1), 山梨大学産婦人科2)
【緒言】子宮内膜症性卵巣嚢胞が卵巣癌の発生毋地となっている可能性が指摘され注目されている.特に子宮内膜症性卵巣嚢胞の経過中,嚢胞内に壁在結節を認め,同壁在結節に血流を認めた場合には,悪性転化を念頭に置いた管理が必要となる.一方,妊娠経過中に子宮内膜症性卵巣嚢胞内に脱落膜変化を来した場合にも,同様の画像所見となり,鑑別は困難と報告されている.今回我々は,妊娠経過中に子宮内膜症性卵巣嚢胞内に脱落膜変化を来した2症例を経験し,鑑別診断の可能性を検討したので報告する. 【症例】症例1は31歳,子宮内膜症性卵巣嚢胞合併妊娠管理中,妊娠21週に内膜症性嚢胞内に血流陽性の壁在結節を認めた.子宮内膜症性卵巣嚢胞の悪性転化を疑い,手術療法を施行したが,壁在結節は肉眼的に浮腫状で,病理学的には脱落膜変化であった.数例の同様の症例報告によれば,いずれも脱落膜変化の場合,壁在結節はMRI上T1強調で低信号,T2強調で高信号であった.これは,脱落膜変化が浮腫性変化として捉えられている為と考えられた.症例2は36歳,子宮内膜症性卵巣嚢胞合併妊娠管理中,妊娠28週に同様に内膜症性嚢胞内に血流陽性の壁在結節を認めた.MRI上,壁在結節はT1強調で低信号,T2強調で高信号であった為,脱落膜変化の可能性が高いと判断,十分なインフォームドコンセントの上,経過観察とした.結果,妊娠34週より嚢胞は急速に縮小した. 【結語】妊娠経過中に子宮内膜症性卵巣嚢胞内に血流陽性の壁在結節を認めた場合,MRIにて悪性転化と脱落膜変化の鑑別が可能である可能性があり,妊娠中の手術療法を回避できる可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
221-221, 2007
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